ROAD TO NIRVANA

愛とポエムとお花のブログ。ときどき書評。たまに映画レビューとか。

Book

絶望の存在証明 / ブレット・イーストン・エリス『帝国のベッドルーム』を読んで

どうやら『レス・ザン・ゼロ』を読んで、もう四半世紀くらい過ぎたらしいが、俄かには信じ難い。 信じ難いが、それだけの時は流れたようだ。 あらためて振り返ってみると、邦訳されたエリスの作品はすべて読んでいることを思い出す。 そしてそれらのどの物語…

Surfing the wave of Gamification/『となりの婚活女子は、今日も迷走中』レビュー

となりの婚活女子は、今日も迷走中作者: 大西明美出版社/メーカー: かんき出版発売日: 2016/08/10メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る 今回、レビュープラスさんより献本していただいたのは、『となりの婚活女子は、今日も迷走中』…

『ママ、もっと自信をもって』レビュー

ママ、もっと自信をもって 作者: 中川李枝子 出版社/メーカー: 日経BP社 発売日: 2016/04/14 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る おれはママではない。なぜならパパだからだ。いや、パパでもない。なぜなら我が家では「父さん」と呼ばれて…

Subliminal Calling /『一瞬で心をつかむ文章術』レビュー

一瞬で心をつかむ文章術 (アスカビジネス)作者: 石田章洋出版社/メーカー: 明日香出版社発売日: 2016/06/08メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る レビュープラスさんより献本していただいた『一瞬で心をつかむ文章術』を読んだ。 読…

『仏教思想のゼロポイント』を読んだ

横浜も梅雨入りしたようだ。肌寒い朝だ。雨の音と換気扇の音がする。 とりたててすることがないのは、いつものことだが、今朝は特に何もない。 とりあえずコーヒーを啜った後、再び布団に潜り込んだり、また起きたりしながら、断続的に読み進めていた『仏教…

カネを貯めるより血を溜めろ/『血流がすべて解決する』レビュー

血流がすべて解決する作者: 堀江昭佳出版社/メーカー: サンマーク出版発売日: 2016/03/11メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る 実に興味深い本である。 人生のあらゆる問題は、まず血流を増やすことで好転していくのだという。 本の…

反語としての思考法/『複数の問題を一気に解決するインクルージョン思考』レビュー

複数の問題を一気に解決するインクルージョン思考作者: 石田章洋出版社/メーカー: 大和書房発売日: 2016/05/21メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る ローリング・ストーンズのアルバム「アンダーカバー」に収録されている「It must b…

美しき緑の星を観た

ネットの一部で話題の『美しき緑の星』を観た。 「EUでは発禁DVDらしい」とか「動画をアップしたら削除される」とか「いやそれはステマに過ぎない」とか取り沙汰されているようだ。 そういうわけでおれも観てみた。 その思想としては、悪くない、むしろ「あ…

オワリノハジマリ

最近、『オワリモウデ』という言葉を知った。 一年の終わり、つまり12月30日とか31日に神社に参拝し、その年に起こった感謝すべきことをできるだけ多く想起し、お礼を伝える、という儀式というか習慣である。 こうしたことは、何年か前に、息子といってもお…

『子どもと食べたい時短おやつ』レビュー

子どもと食べたい時短おやつ (タツミムック)作者: 菅野のな出版社/メーカー: 辰巳出版発売日: 2015/12/01メディア: ムックこの商品を含むブログを見る ごく稀に何の前触れもなく突然思いつき、プリンやホットケーキ、コーヒーゼリーといった簡単なおやつを作…

Thank than hack.

人生はゲームだという。そしてそのゲームは二つのステージで構成されていて、第1ステージは我を忘れることが目的だが、第2ステージでは一転して我に帰ることから始まるのだという。 そんな本を読んだ。 「ザ・マネーゲーム」から脱出する法作者: ロバート・…

酉の市と(日本人)

今年の酉の市は三の酉まであった。そういう年は火事が多いと聞くが三の酉に関わらず火の元には気をつけたいものだ。 ここ数年酉の市には出かけていなかったが、今年はふと気が向いたので家族揃って一の酉に行ってきた。 TOP - 金刀比羅大鷲神社 一の酉とい…

What is success for you?

アメリカでは11月中旬に来年の抱負を決めるのが習わしだという。「一年の計は元旦にあり」と聞かされて育ってきた日本人と1ヶ月以上の時間差がある。今日は11月29日だが、すでに多くのアメリカ人たちは来年に向けて動き出していると考えると気の早いものだと…

ハッとして!Goodな手帳/ES DIARY 2016

ESダイアリー2016 A5ウィークリーノート ネイビー出版社/メーカー: エイ出版社発売日: 2015/10/15メディア: Diaryこの商品を含むブログを見る 毎年、この季節になると翌年の手帳は何にしようかと夜も寝ずに何日も考え続け疲労困憊していたものだが、今回はそ…

Let go and let's go !

減らす技術 新装版作者: レオ・バボータ出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン発売日: 2015/07/30メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る 『減らす技術』を読んだ。断捨離系の本なのかと思っていたが、それとは少し毛色が…

狼になりたい人たち

1979年にリリースされた中島みゆきのアルバム『親愛なる者へ』の収録曲に『狼になりたい』という歌がある。 今から35年以上前の曲だ。 歌詞を見ればわかるように出口のない閉塞感に包まれた当時の若者の心情がATG映画的なイメージで歌われている。 日本アー…

Don't let the world pass you by / 堀江貴文『ゼロ』を読む

ゼロ―――なにもない自分に小さなイチを足していく作者: 堀江貴文出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2013/11/01メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (43件) を見る 堀江貴文の『ゼロ』を読んだ。あのホリエモンの自伝というか半生記と…

『悪童日記』と不浄観

戦争とは統合された狂気だ。そして狂気とは必ず過去か未来に属している。そこに「気づき」は存在しない。あるのは記憶と推測だけだ。記憶や推測は思考だ。思考は言語だ。 アゴタ・クリストフの『悪童日記』を読んだ。 『悪童日記』(あくどうにっき、仏: Le …

情動と実在/フラッシュモブ考

初めてフラッシュモブという言葉を耳にしたのは何年前のことだろう。 その時、おれは「モブが流行している⁈これは只事じゃない。しかもフラッシュというからには閃光の如く現れるようだ。閃光の如く現れては略奪や暴虐の限りを尽くしてはたちまち何処へと消…

Creating a reality

世間はゴールデンウィークということだが、あまりピンと来ない。まあそれでも3日間は休むことにした。子供にもうすぐ「こどもの日」なんだから何か買ってくれとせがまれたのでゲームソフトを買ってやった。GOD EATER 2 PSP the Best出版社/メーカー: バンダ…

I am a foreign language.

神のお告げにより中学英文法の勉強を始めることにした。 子供に買ってやったにも関わらず、Lesson7辺りで放置されていたドリルがもったいないというようなことではない。 別冊解説付 Mr. Evine の中学英文法を修了するドリル (Mr. Evine シリーズ)作者: Evin…

ノンデュアリテイ、志ん生あるいはキース・リチャーズ

要するに、非二元・ノンデュアリテイのマスターあるいは指導者は落語家のようである。 どちらも「噺」のみで聴き手に「笑い」をもたらす。 それにしても「噺」とは非二元・ノンデュアリテイの教えをよく表している字だと思う。 口で、言葉で、覆われていた「…

こうして思考は、現実化した…

こうして、思考は現実になる作者: パム・グラウト,桜田直美出版社/メーカー: サンマーク出版発売日: 2014/04/21メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (6件) を見る これもいわゆる「引き寄せ」本である。軽い気持ちで読んでみたが、なかな…

村上春樹 『1Q84』考/②21世紀の『豊穣の海』

前回は、『1Q84』を読んでいるときに脳内再生されたJ-POPについて触れた。長い物語を読んでいると色々なことを思い出す。そのうちのひとつに、三島由紀夫の『豊穣の海』がある。 第一巻は貴族の世界を舞台にした恋愛、第二巻は右翼的青年の行動、第三巻は認…

村上春樹『1Q84』考 /① 分厚いラブソング

2週間かけて、村上春樹の『1Q84』を読了した。出版直後にBOOK 1、2をすぐに購入し読んだのだが、後になって発売されたBOOK 3は未読のまま数年が過ぎていた。それを今回あらためて読もうと思ったのは、娘の友だちが『1Q84』にハマっているという話を聞いたか…

佐藤秀峰の『漫画貧乏』をおれも読む

最近、Feedlyに登録したイケダハヤト氏のブログで、こんな記事を見た。▼ [無料] 佐藤秀峰氏のエッセイ「漫画貧乏」がえげつなくリアルで読んでて辛いレベル : まだ東京で消耗してるの? ふだんあまりというか全然、漫画は読まないが、佐藤秀峰氏の電子書籍の…

仏道の遺伝子/『全員で稼ぐ組織』レビュー

全員で稼ぐ組織 JALを再生させた「アメーバ経営」の教科書 作者: 森田直行 出版社/メーカー: 日経BP社 発売日: 2014/05/29 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る レビュープラスさんより献本いただきました。 本書のサブタイトルには、「JALを再生…

Without stopping

photo credit: iandavid via photopin cc 映画『シェリタリング・スカイ』で知られるポール・ボウルズ - Wikipediaの作品のひとつに『止まることなく』という自伝がある。 一部では、自伝と銘打ちながらボウルズ自身のことよりもむしろボウルズが見たことが…