ROAD TO NIRVANA

愛とポエムとお花のブログ。ときどき書評。たまに映画レビューとか。

大衆は常に危険に晒されるもの?(THE CHINA SYNDROME)

 

全米公開直後の1979年3月、スリーマイル島原子力発電所で事故が起こり、これ以上ないほどの迫真性を観る者に与えた。原発を取材中のTVキャスター、キンバリー(フォンダ)とそのクルー(ダグラス、バルデス)は偶然、事故の現場に立ち会うが、上からの圧力によってそのニュースはNGとなる。そして調査の後、運転を再開した発電所では技師ジャック・ゴデル(レモン)が原発の欠陥を発見していた。その事を知ったキンバリーは彼の協力を得て、この事件を世間に公表しようとするのだが……。原発内部告発を題材にした作品だが、堅苦しい社会派モノではなく、サスペンスをふんだんに織り込んだ陰謀劇に仕上げ、エンタテインメントたらんとしている所が潔い。原子炉の危機を訴える技師が発電所に篭城する終盤は、レモンの力演もあって迫力あるものになっている。

 

 

 

もう30年以上も前の作品だが、まさしく「今」の映画だ。

 

「大衆は常に危険に晒されるものなの?」

 

ジェーン•フォンダ扮するTVキャスターが技師のゴデル(ジャック•レモン)に問いかけたこの台詞への返答はまだ聞こえてこない。