ROAD TO NIRVANA

愛とポエムとお花のブログ。ときどき書評。たまに映画レビューとか。

フォーカシング

先日、図書館で何気なく手に取ってそのままなんとなく借りて読んだフォーカシングに関する本が意外に面白かった。

フォーカシングとはセラピーというかカウンセリングメソッドである。

臨床心理学の用語。ユージン・ジェンドリンにより発見された、人間の体験過程とその象徴化の過程、または、それを促すためにジェンドリンが体系化した技法をいう。フォーカシング - Wikipedia

たいていの人はいきなり人間の体験過程とか象徴化の過程とか言われてもピンと来ないだろう。おれは今でもピンと来ない。

それじゃあ何なのかということだが、ザックリ言うと、自分の身体を通して日常生活ではほとんど顧みられることのない自分の中の何かと対話をするための技法である、と個人的にはそう理解しているが、もしかしたら違うのかもしれない。

で、その対話によって抑圧された感情の解放や癒し、自己理解が起こるのだという。

日々、空気を読むことに追われ、感情を押し殺すことが美徳とされるようなこの国で、癒しと言えばせいぜい休日のスーパー銭湯か旧作DVD100円レンタルしかなく、自己理解と欲望の見分けもつかなくったわれわれにはまさにぴったりの技法のひとつであると言えよう。

と、言いながら実はおれ自身はその効果をまだ実感したことはない。まあ何事もひとりでできるようになるにはコツというかそういうものがあってそれには場数を踏む必要があるということだ。

おれのように寝る前に布団の中で2、3回試した程度ではどうにもならない。

そんな、フォーカシングについてその程度の認識しかないおれが今回たまたま読んだのは、国内のその筋ではおそらく第一人者のひとりである池見陽氏が書いた「僕のフォーカシング=カウンセリング」だ。

この本は自身の経験を通して得たフォーカシングに関する見解が素人にもわかりやすい文章で書かれている。

わかりやすいと言うより、「フォーカシングって何か面白いかも…」と思わせてくれると言った方が近いのかもしれない。

フォーカシングをジャズの演奏に喩えた前書きで読者の心をつかみ、そのまま「フォーカシングという音楽」の魅力を伝えてくれる本書は、言わば、心理療法のストレンジ・デイズというか、レコード・コレクターズというか、まあそんな風だと思ってもらえればいいとおれは考えている。かなり強引な譬えではあるが。

僕のフォーカシング=カウンセリング

僕のフォーカシング=カウンセリング

▼で、もう少し詳しくフォーカシングについて知りたくなったのでこの本を借りてきた。まだ読了はしていないが、何と言ってもフォーカシングの創始者の書いた本なので、フォーカシング業界では必読書の筈である。

少し引用してみよう。

自分の胃や胸の内側を感じてみる。1,2分ゆっくりと待って何を感じるだろうか。 ふわふわと心地よいとか、胸騒ぎのような感じとか、あるいは緊張とか、そんなものがあるだろうか。それとも、どんな感じだろうか。言葉で表現できなくてもかまわない。自分で、「うん、何か雰囲気(quality 〔質感なようなもの〕)があるな」とわかればいい。1,2分ゆっくりかけること。

自分の右足、靴の中の右足のつま先に注意を向けてみる。うまくできなかったら、つま先を動かしてみる。そうして動きを止める。これでつま先の内側を感じることができる。同じように、膝や、椅子に支えられ押されているところも感じてみる。さらに上に上がって、胃や胸の中に行く。胃ではどんな雰囲気の体感を感じているだろうか。こうしてからだの内側を感じることが容易にできるようになれば、フォーカシングを始めることができる。

フォーカシング指向心理療法〈上〉体験過程を促す聴き方

フォーカシング指向心理療法〈上〉体験過程を促す聴き方

  • 作者: ユージン・T.ジェンドリン,Eugene T. Gendlin,村瀬孝雄,日笠摩子,池見陽,村里忠之
  • 出版社/メーカー: 金剛出版
  • 発売日: 1998/09
  • メディア: 単行本
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