ROAD TO NIRVANA

愛とポエムとお花のブログ。ときどき書評。たまに映画レビューとか。

和僑という生き方

レビュープラスさんより献本。

というわけで、本書は大資産家へと至る道程のひとつの可能性を示したガイドブックである。

そもそも大資産家とは一体何なのか庶民中の庶民であるおれには想像もつかないが、その響きは魅力的だ。

想像もつかないのに魅力を感じること自体が生粋の庶民である何よりの証拠だと突きつけられたような気がして、奈落の底に沈みそうになるが、ここでくじけてはいけない。

そう自分を奮い立たせたおれはページを開き、そして今、読み終えたところだ。

簡単に言うと、どん詰まりの日本だけにとどまらずアジア、特にASEAN諸国に飛び出して稼ぎましょう、そのためにはこういう方法がありますよ、というようなことが著者の経験を元に書かれている。

で、肝心のその方法だが、それは各自で本書を読んでいただきたい。

ただ、この本は単なる「アジア副業マニュアル」ではないということだけは付け加えておきたい。

それでは何か。

これは、「マニュアル」という形を借りた和僑という生き方の提示である。

和僑とは言うまでもなく、華僑や印僑などと同じように母国を出て世界中で商売、ビジネスを展開する人々のことだ。

実際にこういう言葉があるのかは知らない。ふとおれが思いついた言葉だからだ。

だが、おれが思いつくぐらいだからずっと前から和僑という言葉はあるはずだと思っている。

それはともかく、本書に紹介されていた人口ボーナス理論によれば、高度経済成長をとうの昔に通り過ぎた日本には二度と同じような熱気は訪れないということである。

この理論が正しければ、和僑という生き方は今後かなりリアリティを持つはずだ。

今、おれは、アジアのみならず世界に飛び出した和僑が一定数を超えたとき、そうした人々が日本を変えていくのかもしれないと夢想している。

和僑になる、ならないはともかくとして、いずれにせよ「JAPANESE ONLY」などという横断幕を張って溜飲を下げている時代ではないということだけは確かだ。

人口ボーナス理論…生産人口と学生、子供、高齢者などの非生産人口の割合を関数に入れることで、その国の今後の経済成長が予測できるという理論。生産人口の増加率が、全人口の増加率を上回る期間が人口ボーナス期である。ボーナス期が終わった国は成熟国、人口オーナス(負荷)の国となる。一度そのボーナスの支給が終わると、二度と出ることはない。この人口ボーナスが出ている間に先進国にならなければ、その後その国が先進国になることはないという。

ここまでの文章を読み返して、結局のところ「大資産家」とは何かという当初のおれの疑問は解決することはなかったが、ひとつの条件は朧気ながら見えてきたような気もする。

それは、自分自身の人生を生きるということだ。

人生という自分の時間を存分に使いこなすことこそ「大資産家」への道だということだ。

つまり、勝手に生きるということだ。

昔の禅僧も言っている。

「随所作主 立処皆真」


僑 とは - コトバンク