ゲートウェイ・エクスペリエンス
photo credit: Jason Carpenter via photopin cc
かねてから気になっていた、知る人ぞ知る「ゲートウェイ・エクスペリエンス」をやっと手に入れた。
それは何かと言うと、CDである。これを聴くことで変性意識状態に導かれるのだという。
変性意識大好きのおれとしては見逃せない、いや聴き逃せない代物だ。
で、単なるCDを聴くことでなぜ変性意識状態がもたらされるのかと言うと、バイノーラル・ビートというものが仕込まれているかららしい。
それでは、バイノーラル・ビートとは何かと一言で言うと、両耳性うなりという何やらよくわからない用語に出くわす。
両耳性うなりとは何のことかさっぱり分からない。
さらに調べてみると、左右の耳から異なる周波数の音を聴くことで、脳はそれらの音の周波数の差にチューニングしてしまうのだという。
たとえば、右耳から400Hz、左耳から405Hzの音を聴くと、脳はその差である5Hzに自らの脳波をチューニングする。つまり5Hzの脳波を出すことになる。
ちなみに、5Hzの脳波は瞑想時に出るものらしいが、おれはその辺のことは詳しくは知らない。
ただ、そうした脳の性質というか習性に着目して、バイノーラル・ビートは作られているということだ。
つまり、α波だろうと、θ波だろうと、γ波だろうと、かめはめ波だろうと、原理的にはどのような脳波もバイノーラル・ビートを聴くことによって得られるということだ。
それがどうした?というようなものだが、これが一番肝心な、そしてエポックメイキングなことである。
詳しいことは割愛するが、それはめんどくさい、いや、数多の先人たちがすでに事細かに説明しているからだ。
ここで、おれがあらためて繰り返すまでもない。▼
ヘミシンクとは 「ヘミシンクについて」 - Aquavision Academy アクアヴィジョン・アカデミー
とにかく、バイノーラル・ビートによって人は変性意識状態に導かれる。
で、変性意識状態とはどんな状態なのかというと、要するに「普通」から逸脱した状態である。
これは、学生が授業をエスケープしたときに感じるドキドキとワクワクした気持ち、それでいてフワフワした感じに似ているかもしれない。
あるいは、仕事や学校を休んで平日の昼間に街をフラフラするような感覚。
あるいは、見知らぬ街を旅したときに感じる独特の感覚。
あるいは、幻覚をもたらすある種の植物を摂取したときの感覚。
あるいは、降り出した雨が乾いた地面を濡らし、たちまち水浸しになり、四方に流れ出すさまをじっと眺めているときに起こる感覚。
あるいは、奥羽本線の車窓から見える日本海その他の通り過ぎていく風景や人々の姿を見送っているときの感覚。
あるいは、韓国の南山トンネルを歩いて抜けるときの感覚。
あるいは、第3京浜で突然エンストを起こしたバイクの脇で茫然と佇むとき。
あるいは、途切れなく降り続ける雪の中、福島の阿武隈川に架かる橋を歩いて渡っているとき。
あるいは、大阪天王寺の路上カラオケに合わせて踊るおじちゃん、おばちゃんの姿を目撃するとき。
あるいは、一日中シャベルで土を掘った末に、位置がずれていたということで、一瞬にしてブルドーザーで埋められたとき。
あるいは、何度も同じ漢字を書くうちにゲシュタルト崩壊が起こるとき。
あるいは、「普通」という虚構が剥がれ落ちるとき。
それでも「私が在る」という感覚。
変性意識状態とは、つまり十重二十重に重ねられた虚構のベールに覆われた「私」と出会うということだ。
ヘミシンクはそんな「私」と出会うためのツールのひとつだ、と思う。
今後、このゲートウェイ・エクスペリエンスでの「旅行記」または、「放浪記」を書いていくつもりだが、まだ1枚目のCDも聴き終えていない。今日も気がついたときには朝だった。
旅はまだ始まっていない。
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