180°SOUTHを観て思う。
ゲートウェイ・エクスペリエンス 怒涛の寝落ち記録更新中
というわけで、体外離脱も起こらず、ガイドに会うことも叶わず波の音が聞こえ始めるや否や、たちまち眠りの海に沈む日々が続いている。
感覚の変化は感じるのだが、その先に進めない。
ヘミシンクを聴くことで、夢の質は確かに変わったような気もするが、明晰夢には程遠い。
と、そんな中、ネットで注文した娘のメッセンジャーバッグが届いた。
おれは何気なく現物とネットでの写真を照らし合わせて、ついでに他のバッグをボンヤリ眺めていた。
ふと、目に留まったのがパタゴニアのバックパックだった。
今までバックパックに興味を持ったことなど、少なくとも20年はなかったはずなのにパタゴニアのバックパックは強烈な磁力を放って迫ってくるようだった。
そしていくつかの気になったバックパックの詳細記事を見ながら、「なるほど、最近はノートパソコンを入れられるのが普通の仕様なのか…」などと横丁のご隠居さんのように呟くうちに、気がつけば、『180°SOUTH』というドキュメンタリー映画の記事に辿り着いた。▼
映画『180° SOUTH/ワンエイティ・サウス』オフィシャルサイト|この映画について
パタゴニアへ旅した2人のアメリカ人、イヴォン・シュイナードとダグ・トンプキンスは帰国後それぞれ小さな会社を設立。
それが「patagonia」と「THE NORTH FACE」、今では世界中の誰もが知っているアウトドア・ブランドの最高峰だ。アメリカにおける自然派志向のアウトドア・カルチャーは2人の伝説の旅から生まれたものだった。
アウトドアブランドの双璧、なのかはよく知らないが、パタゴニアとノースフェイスの創業者が友人同士だったという話はなかなか興味深いものがあった。
そして、昨日iTunesでレンタルして観た。映画としては、「普通」と言うか、「凡庸」というか、まあ個人的には特に語ることもないような内容だった。まあこれは作り方の問題だろう。
ただ、今後自分が本当にバックパックを買うことになれば、パタゴニアのそれを買うだろうとは思った。
そういう意味では、この映画は成功なのかもしれない。
瀧本哲史が『僕は君たちに武器を配りたい』で、コモディティ化をすり抜けるには「物語=差異」が必要であると書いているが、パタゴニア並びにノースフェイスは、この映画の観客の相当数をそのまま購買者としたのではないかと思う。
ところで、その『…武器を配りたい』には、
成功するビジネスには「ストーリー」がある
p130
と、ある。おそらくそうなのだろうと思うが、今現在、日本で流布されているような、日本人だけに分かるようなストーリーでは到底、世界に太刀打ちできないだろうなとも思う。
時代背景が違うと言えばそれまでだが、「軍産複合体で働く気はまったくなかった」というようなセリフを口にするイヴォン・シュイナードと比肩し得るようなストーリーは今の日本の若者にはおそらく語れないだろう。別に語れなくてもいいのだが。
そんなことを思いながら、おれは押入れの奥に眠っていたマウンテン・スミスのバックパックを引っ張り出した。
中を開けてみると、ゲロの臭いがした。使われている繊維の匂いか何かだろうか。
他には、今はなき、駅前留学のノバの宣伝ティッシュが出てきた。
そして、もうひとつずっと探していたレイバンのサングラスが見つかった。
バックパックは裏返して洗濯した。
旅に出ろ。どこかをうろつけ。
今回書いた「一連の流れ」は、ヘミシンクで寝落ちばかりするおれに示された「ガイド」からのメッセージなのかもしれない。
そう思うことにしたおれは今晩もゲートウェイ・エクスペリエンスを聴きながら寝落ちするのだろう。
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