『チームの「やる気スイッチ」を入れる5つの方法』を読んだ。
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レビュープラスさんより献本いただきました。
あくまでも個人的感想だが、不思議な本を読んだというのが読後の第一印象だ。
自分から動こうとしないスタッフをいかに自発的になってもらうかという、分かりやすいと言えば、分かりやすいテーマを扱った本だというのに、この不思議な感覚は今もあたりに漂っている。
このレビューを書き終わるまでにはこのモヤモヤを解消できればと願っている。
帯のコピーにこうある。▼
『こんな悩みを持つ自称“ダメリーダー”に本書がよく効きます!
「スタッフのやる気が感じられない」
「言わないとやらないメンバーが多くて困っている」
「チームがなかなかひとつにまとまらない」』
このコピー通りに受け取れば、本書は人材育成・管理をする、あるいは、しなければならないポジションにある人向けの本である、はずである。
実際、そのような体裁でまとめられてもいる。
まずは、この本を読むべきリーダーを含むスタッフを5つのタイプに分類し、それぞれのタイプに応じた「指導」の処方箋が、タイトルにもあるように、5つほど提示されている。
第1ステージ…無責任なデモ隊ステージにいる人々
第2ステージ…愚痴仲間が多い愚痴集団ステージにいる人々
第3ステージ…忠犬ハチ公ステージにいる人々
第4ステージ…大将ステージにいる人々
第5ステージ…大親分ステージにいる人々(おそらくこのステージにいる人が想定読者なのだろう)
▲何となくイメージが掴めただろうか。
ざっくりと5つのステージに分類されてはいるが、さらにそれぞれの詳細な特徴が20個以上に及ぶ。幾つかピックアップしてみよう。▼
- 不安・ストレスを常に感じている人
- 優先順位がわからない
- 上司やリーダーからのアドバイスがないと動けない
- どちらかというと、お金のために働いている
- 夢と現実のギャップが大きい
- 他人の意見に耳を傾けない
- 野心家
- 準備をしっかりしてから確実に成功させる
- リストラが怖い
- 給料日が待ち遠しい
【問題】どのステージにいる人たちの特徴でしょう?
【答え】どれでもないと同時に、どれでも当てはまります。実は、上記の特徴は各ステージから適当に選んだものでした。
そういうわけで、(どういうわけか分からないが…)こうした特徴がこれでもかというぐらいに列挙されている。
なかでも、第1ステージと第2ステージにいるとされる人たちの特徴は、ネガティブなものが多い。というかほとんどネガティブである。挙げられた特徴を見ると、仕事でやる気を出す出さないとかいう前に自己都合退職をしてもらって、雇用保険が給付されるまでの待機期間を利用して、内観療法によって人生全般を見つめ直すべき人たちであるとおれなどは思ってしまう。(おれ自身にこれらのステージの特徴のいくつかに心当たりがあることはもちろん秘密である)
しかし、本書はそういった人たちにも救いの手を差し伸べる。
どのようにして?
41もの質問に答えてもらうことによって、である。(その他のステージを含めると、86個の質問が用意されている)
そして、これらの質問に自ら考えて答えることによって、第1、第2ステージにいる人たちのやる気スイッチが押される、ということである。
ざっと目を通してみたが、これは図らずもある種の内観療法なのかもしれない。
そう。
この本はコーチングの皮を被った内観療法、あるいは内観ワークである。
そういうことだったのだ。これで、おれのモヤモヤは解消された。
そして、「自立型スタッフの育て方」と銘打っているが、実は、本書は理想的リーダーとは何かということを問いかけているのだと思う。
あなたが何らかのチーム、組織のリーダーであるなら、これらのワークに取り組むことは決して無益ではないだろう。
部下にやらせるのではない。
まずは、86個のワークをリーダーであるあなた自身が取り組まなくては、無意味である。
もしそれをすっ飛ばして、単にステージに応じたワークを部下、スタッフに取り組むよう指示したなら、あなたはやがてリーダーの地位を失うことになるだろう。
そう、いつも部下に丸投げするだけで自分では何もやる気のないあなたはやる気スイッチの入った部下によって放逐されるのだ。
本書は、86個のワークをスタッフにやらせる覚悟がリーダーであるあなたにあるかと問うている。
チームの「やる気スイッチ」を入れる5つの方法 自ら動き出す自立型スタッフの育て方 (角川フォレスタ)
- 作者: 徳永拓真
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川学芸出版
- 発売日: 2014/01/24
- メディア: 単行本
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