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ROAD TO NIRVANA

愛とポエムとお花のブログ。ときどき書評。たまに映画レビューとか。

不定点観測 2014 ② コンビニ道祖神

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帰省ラッシュはすでに始まっていた。

高速道路情報によると、東名横浜町田インター付近は20キロ近く渋滞しているという。

そこで、おれたちはしばらく国道16号を走り、適当なところで湘南の海沿いに出ることにした。

台風の影響なのか、生暖かい強風が吹き、黒々とした夜の海にいくつもの波濤が白く砕けるのが見えた。

子供らは、しばらく車窓から見えるコンビニの数をカウントしていた。

普段、自動車で長距離を移動することがないので、どこまで行っても見慣れたコンビニが途切れることなく存在するのが珍しかったようだ。

それとも見知らぬ土地に入ることで曖昧になりそうな「自分を保つ」ためにそういうことを思いついたのだろうか。

大丈夫、世界はまだ繋がっている…あ、またセブンが見えた。これで17個目…

なぜコンビニを数えるのか聞いても、数えたいからという答えしか得られなかったが、どうせそのうち止めるだろうと思って放っておいた。

実際、すぐに飽きた様子だったが、こうした子供の発想は人間の習性を考えるにあたって色々と参考になることが多い。

今回のことで言えば、子供のアイデンティティは、住む土地と密接にリンクして育まれていくのだということがあらためて確認できたように思う。

そしてこの狭い国土にたちまち無数のコンビニが林立したことの理由のひとつが見えた気がしたが、これはおれのいつもの早合点かもしれない。

で、その早合点の内容は何かと言うと、日本人は「利便性」もさることながら、同質性がもたらす安心感に強く引き寄せられるのだろうというものだ。

言ってみれば、コンビニは小売店補であると同時に、日本全土にあるお地蔵さんや道祖神の祠のようなものなのかもしれない。

ハンドルを握りながら、後部座席で息子と娘の会話が聞こえる。

「姉ちゃん、セブンこれで21個目だよ!」

「ねえ、もう数えるのやめない?」

おれたちのクルマは暗闇の中で煌々と輝く現代の道祖神の祠を走り抜けていく。

それがたとえ外来の神であってもたちまち取り込んでしまう日本とは不思議な国だとあらためて思いつつ、東名高速に乗ったのは沼津インターからだった。

セブン-イレブン 終わりなき革新 (日経ビジネス人文庫)

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