生きる姿勢
このところ、持病である頸椎症から来る肩、腕の鈍痛に悩まされていた、と思う。
「思う」というのは、今回は特に医者にかかってないからだ。
何年か前に、そう診断されたときの症状と同じなので、まあそうだろうということだ。
頸椎の何番目かは忘れたが、それが変形し、ささくれだって神経を圧迫し、肩や腕に痺れや鈍痛を起こしていると、レントゲン写真を見せられて説明されたのを覚えている。
長年の姿勢の悪さがもたらしたものらしい。姿勢が悪いと、頸椎に余計な負荷がかかるのだ。
おれはその整形外科の先生に尋ねた。
「で、その頸椎は元通りになることはあるんですか」
「ないです。とりあえず湿布出しときますね」
ひしゃげた頸椎のレントゲン写真を見せられ絶望していた患者に「とりあえず湿布」という漫才のオチのようなこの言葉の落差に思わず笑ってしまったものだ。
「毎日、憂鬱で何もかも嫌になって死にたくなることがあるんです」
「それは困りましたね。とりあえず湿布出しときます」
「他人とうまくコミュニケーションがとれないんです」
「そうですか。とりあえず湿布出しときます」
「就活で悩んでいます」
「湿布出しときます」
「老後が不安で…」
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そういうわけで、おれは湿布と頓服の痛み止めと、そして「リハビリ」に数回通った。
リハビリの内容は、何て言うか、マッサージ機能のあるベッドで数分間横になること、首の牽引、低周波治療器によるものだった。
すべて機械によるものだったが、どれもなかなか快適だった。これで効果がなかったら、整体院に行こうと考えていたが、そうする前に痛みは消えていった。
そして、今回数年ぶりに鈍痛が再発した。また整形外科に通うのもいいが、なかなか時間が取れないので、やり過ごしていたところ、昨夜久々に、CO-EXが起きた。
簡単に言えば、身体が勝手に動いて歪みを矯正、改善する現象だ。自働調整プロセス、またはCO-EXという。
もう詳しく描写するのは飽きたので、過去に書いたアメブロを見てください。▼
付け加えるとすれば、この「運動」は、オカルト映画の走りであるあの『エクソシスト』に似ているなと思ったことだ。
公開当時、悪魔に憑依された少女がベッドの上でのたうち回る光景は衝撃的だった。
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幸いなことに、おれの場合は緑色のゲロも吐かず、空中に浮かぶこともなく、ポルターガイストも起こらなかった。
ただ、首はけっこうな感じで回った。
プロセスは1時間近く続き、痛みがどんどん引いていくのが分かる。
おれはいつの間にか眠ってしまった。
目が覚めて、あらためて思ったのは、我々は普段いかに自然のプロセスを無視し、歪めているのかということだった。
我々は多かれ少なかれ虚構に憑依されている。そして、自らを歪める虚構を維持することに血道を上げている。
…というようなことを、こうしてiPhoneで記事を書いているうちに少し痛みがぶり返してきた気がするので、この辺りでやめておくことにする。
いつまでも下ばかり向いてるんじゃないよということだろう。
そう言えば、「湿布出しときます」の先生が、枕はなるべくしない方がいいというアドバイスをくれたことを思い出した。どうしても眠れないのなら、低反発枕かタオルを筒状に丸めて首に当てるといいとのことだ。
生きる姿勢を正したい。