村上春樹『1Q84』考 /① 分厚いラブソング
出版直後にBOOK 1、2をすぐに購入し読んだのだが、後になって発売されたBOOK 3は未読のまま数年が過ぎていた。
それを今回あらためて読もうと思ったのは、娘の友だちが『1Q84』にハマっているという話を聞いたからだ。
そうか、この前まで幼稚園児だったのにもうふつうにそんな本を読む年頃になったのかと思い、一瞬だけ感慨に浸ったのだが、これはあるいは中断していた『1Q84』を読了すべしという何かのメッセージなのかもしれないという気がして本棚から埃を被っていた『1Q84』を引っ張り出したのだった。
そして、つい先程全3巻を読了した。コンプリートした。
出版されてもう何年も経っているので、あらすじの紹介や論評は必要ないだろう。
要するに、実にエキサイティングな物語である。もちろん人によるが。
読み始めた途端にたちまち『1Q84』の世界に引き込まれてしまい、様々な気づきや考察を得ることができた。
今回はそんな『1Q84』を読んでいる間になぜか脳内で流れた曲を紹介したい。
1.この愛は始まってもいない
2001年リリースの真心ブラザーズの『この愛は始まってもいない』は、まさに『1Q84』のテーマソングである、と個人的には思っている。村上春樹はこの歌にインスパイアされて『1Q84』を書いたのではないかとさえ思うこともある。
2.流れ星
二人で見た夢は月の先っぽに引っかかり
上昇気流にさらわれて空へと消えていった作詞・作曲 Yo-King
このフレーズは、他に誰もいない教室で手を繋いだ天吾と青豆のシーンをおれに想起させる。
3.今宵の月のように
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夕暮れ過ぎて きらめく町の灯りは
悲しい色に 染まって揺れた
君がいつかくれた 思い出のかけら集めて
真夏の夜空 ひとり見上げた作詞・作曲 宮本浩次
高円寺の児童公園の滑り台で夜空に浮かぶ二つの月を見上げる天吾の心象にオーバーラップする。
他にも数曲の歌が流れたが、どれも日本語の歌だった。残念ながら作者の愛するJAZZもROCKも、「シンフォニエッタ」も、ドメスティックでB層なおれの脳内再生装置では流れることはなかった。
まあそれでも、『1Q84』を読んだ人には多少は分かってもらえるのではないかと思う。
つまり、この物語は日本語で書かれた分厚いラブソングなのだ。
それも直球ど真ん中の。
アンパイアの必要もないくらいのストレートだ。
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