ROAD TO NIRVANA

愛とポエムとお花のブログ。ときどき書評。たまに映画レビューとか。

ひび割れた世界

悲劇の最大の特徴は、突発性にある。少なくとも当人にとっては、100%想定外の出来事である。

先週の土曜日、はるばる三鷹まで足を伸ばして竹久夢二展に行ってきた。当初、大正ロマンについて何かしらブログに書こうと想定しつつ、まったく判読不能の夢二の書いた手紙をガラス越しに眺めていたのだが、そんな思惑はいとも簡単に粉々に砕け散ってしまった。

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夢二展の後、散歩がてら井の頭公園まで歩いたのが運の尽きだった。

久しぶりに訪れた井の頭公園は土曜日ということもあって、多くの人々で賑わっていた。フリーマーケットも開かれていた。明らかに「おじいさん」にしか見えないおじいさんがギターとハーモニカで、なかなかイカすブルージーな曲を演奏していた。休日の井の頭公園には、予感のかけらもなかった。何の予感もないということ、それが悲劇の特性だと知ったときにはすでに起こってしまった後だ。

丸2年使用したiPhone5は何気なくジーンズのポケットから出した瞬間におれの手から離れ、井の頭公園の砂利道でバウンドした。

「あ、」

おれが発した言葉はそれだけだった。

                                          〈つづく〉