Illusion needs time to make a reality.
巷で話題のドローンは、そもそも軍事目的で開発されたようだが、数日前にその「本来の用途」、つまり無人爆撃に携わる人たちのPTSDに関する記事を見た。
ネバダ州の空軍基地にある管制室からアフガニスタンの無人機を操り、ミサイル「ヘルファイア」を発射して地上にいた3人を殺害した。赤外線カメラの映像でその様子を見ていたという。
👉 米無人機攻撃の実際、操縦者が語る 退役後はPTSDに - (1/3)
今や、戦争とは「死地」に赴くことなく本国に留まったままシューティングゲームさながら空調の効いた部屋でモニター越しに遂行できるのだ。仮想現実的戦争と言うか、戦争の虚構化と言うか。
それでも人は実際に死ぬ。その様を日々眺め続ける。
「煙が晴れると、ミサイルでできた穴の周辺にバラバラになった2人の遺体が見えた。3人目の男性は右足を失って転げ回り、足からは血が吹き出していた。その血は熱かった」
PTSD? 当たり前だろう。
ならない方が不思議だが、とかくこの世は「手続き」の世界なのだろう。それが「記事」になって初めてその非人道的な行いに気づくという迂遠な形式を必要とするようだ。
テクノロジーを駆使することによって、殺戮という非人道的行為を「仮想化」することが可能になったかに見えるが、その一方、同じテクノロジーによって、これまでは瞑想や催眠療法、臨死体験等以外では不可視だった精神世界が「モニター」によってありありと映し出される。
ドローンの操縦士はモニターの中に「自分の精神」がバラバラに吹き飛んで血しぶきを上げる様を目撃する。
PTSD? 当たり前だろう。
テクノロジーは古来より言い伝えられる「観る者は観られる者である」という真理を具現化する。
分離は幻想に過ぎないという真理が、「PTSD」と名付けられて届く。
アフガニスタンで炸裂したミサイルは同時にネバダ州でも「地獄の炎」を吹き上げる。
それは同時に起こるのだ。
そこにタイムラグなど一切ない。
ただ、「そう見える」だけだ。
ただ、「時間」があるように見えるだけだ。
ただ、そんな風に見える仮想現実に生きているだけだ。
今後もテクノロジーの進化は、これまで「現実」であると疑わなかった諸々はことごとくフィクションに過ぎないことを暴露すると同時に、これまで迷信だと片付けられていた物事の多くは実在するのだとわれわれに提示するだろう。
男性が死ぬまでには長い時間がかかった。私はただ見ていた。男性が横たわっている地面と同じ色になるのを見ていた」
われわれは常に六道の辻に立っている。
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