ROAD TO NIRVANA

愛とポエムとお花のブログ。ときどき書評。たまに映画レビューとか。

梅雨空の下、ワイドハイター粉末を試す

鬱々とした雨が続いている。と、書き出したもののおれ自身は特に鬱々とはしていない。生まれてこのかた天気のことで一喜一憂した記憶もない。もしかしたら一度くらいはそういうこともあったのかもしれないが、まるで覚えていない。知人で天気のことを異常に気にする人がいたが、もしかしたらそれが普通でおれが異常に気にしないタチなのかもしれない。いずれにせよ、おれは天気のことで一喜一憂しない。自分の力でどうにもならないことを気に病んでも仕方ないことだからだ。おれにとって天気は大晦日の紅白歌合戦の勝ち負けと同じくらい仕方ないことだ。もちろんおれだって「雨ですかぁ、参りましたねぇ」くらいのことは言う。でもこれは社会人としてわきまえるべき時候の挨拶をしているだけで本当は何も気にしていないし、何も考えていない。そんな社会人のおれが考えるとしたら、「雨か…」とか「雨だ」くらいだ。「社会人」とは大体そんなものだ。架空の産物だ。それはそれとして、参って雨が止むなら参るのもひとつの手だが、参ろうが参るまいが雨は降り、雨は止む。それなのに人は「参ったなぁ」などと言う。まあでも、人それぞれの諸事情というものがあって本当に「参ったなぁ」ということもあるのだろう。

ただ、ひとつだけ「参る」ことがある。それは洗濯物が乾かないということだ。自宅に乾燥機を備えていればいいのだろうが、そんなセレブじゃないおれはここ数日、あの忌まわしい生乾きの臭いに辟易していた。

生前、悪業を働いた人間は地獄に落ちるらしいが、どんな地獄にせよ、そこに漂う臭いは悪臭に違いないと、ふと思う。ジャスミンの香り漂う地獄などおそらくないはずだ。前にもこのブログのどこかで書いたが、死に近づいた人間が放つ猛烈な悪臭を感知する特殊な能力の持ち主がごく稀にいるという。こうしたことからも少なくとも悪臭は良からぬことの前触れであるということは容易に推察できる。

と、そんなことを考えても生乾きの臭いは解消されない。解消できるのは日光だけだ。ああ晴れが待ち遠しい、てるてる坊主を作りたい、と嘆いても仕方ないのでおれは近所のドラックストアで「ワイドハイター粉末タイプ」を購入することにした。

部屋干しした衣類の悪臭の原因は繊維に入り込んだ雑菌の仕業なので、それを除菌すればいいのだ。

と、いうようなことがネットの記事に書いてあった。中でも『ワイドハイター粉末タイプがオススメ!』みたいなやつが一番多かったので、それに倣った。

果たして、生乾きの悪臭は呆気なく消えた。

しばしの間、化学の勝利を味わったおれは消毒臭い衣類の匂いを嗅ぎながら、でもこれは人生における勝利ではないとも思うのだった。われわれは何にも勝利することはない。

明日天気になあれ。

ワイドハイター 粉末タイプ 750g

ワイドハイター 粉末タイプ 750g