読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ROAD TO NIRVANA

愛とポエムとお花のブログ。ときどき書評。たまに映画レビューとか。

What is success for you?

アメリカでは11月中旬に来年の抱負を決めるのが習わしだという。

「一年の計は元旦にあり」と聞かされて育ってきた日本人と1ヶ月以上の時間差がある。今日は11月29日だが、すでに多くのアメリカ人たちは来年に向けて動き出していると考えると気の早いものだと呑気に感心してばかりはいられない。

というようなことを知ったのは、たまたま読んだ『成功をめざす人に知っておいてほしいこと』という本に書いてあったからだ。

著者のリック・ピティーノはアメリカのバスケットボールの有名な監督だという。NBAについて特に興味のないおれはどれだけすごい人なのか知る由もないが、その指導力は彼の国では賞賛に値するものだということだ。

全9章からなるこの本の全体を貫く思想はあのナイキの有名なコピー「Just do it !」である。

読み終えたばかりだが、備忘録として簡単に、印象に残った箇所を振り返りつつ感想などを記しておこうと思う。 

自尊心

自尊心とはたんなるプライドのことではなく、自分に対して価値を感じる気持ちのことです。「謙虚な姿勢で自分を尊敬し信頼する姿勢」と定義できると思います。(p.18)
いきなりこうした定義だけを聞かされても分かったような分からないような気がするが、自尊心の低い人の特徴をあげられると少しは分かるような気もする。
自尊心の低い人は目標が定まらず、すぐに挫折してしまうのが特徴です。能力があるのに業績をあげることができず、規律に従わず、物事を途中で投げ出し、絶えず不満を言い、批判に屈しやすく、他人をうらやみます。(中略)精神的に弱く、失敗するように自分を設定している… (p.18)
こういう人は誰の周りにも割と見かけられる人だが、そのような人は「自尊心の低い人」であると断言されると分かりやすい。それと同時にアメリカの厳しさと成熟度をさらっと見せつけられたようで少しだけ己の居住まいを正したくなる。

ふと、この本にかぶれて酒の席で部下に「お前は自尊心が低いんだよ!」と説教を垂れる中小企業の上司が頭に浮かび、その人の日常生活や趣味や子供の頃の思い出といったありもしないことを想像したくなるが、おしとどめる。

いずれにせよ、自尊心と無根拠のプライドを混同している人は多いだろうということは想像に難くない。

根拠のないプライドも捨てたものじゃないと思うが、自尊心とはそこに努力という基礎を流し込むことによって現実に耐えうるものとなる、というようなことだろう。

努力

業績をあげている人はたんに運がいいのではなく、ひたむきに努力しているのです。(p.25)
最近、マンションの杭が岩盤に達していなかったことが発覚し、調べてみるとそうした偽装データがぼろぼろと出てきたというような報道があったが、努力とはこうした見えない杭のようなものなのかもしれない。そうした努力を怠るとマンションも会社も傾くということだ。

そう考えると、努力とはオプションではなく当然付随する工程だという結論が導き出される。そして「あなたが成功しないのはあなたが必要な工程を省いたからです」という身も蓋もないことを突きつけられ、うなだれる人のことが頭に浮かび、その人の心の内や趣味、子供の頃の楽しかった思い出、好きなタレントといったありもしないことを想像したくなるが、おしとどめる。

個人的には、何かをやろうとするとき「自分は努力しているのではなく、当たり前のことをやっているのだ」と言い聞かせたいと思う。

変化

自分を変えることに関しては、年齢はなんの言い訳にもなりません。それどころか、年をとればとるほど、私たちは変わらなければならないのです。(p.32)
諸行無常、万物流転というのがこの世の真理であるが、とかく人はこの真理から目をそらしたくなる。そして、リスクとは真理から遠ざかることだという明白なことを忘れてしまう。リスクについて考える時間があるなら、掃除洗濯したり、風呂に入ったり、冷蔵庫のチェックをしたり、何が真実で何が虚偽なのかを考える時間に充てたりしたいものだ。
あなたは変化をワクワクする貴重な経験ととらえる必要があります。(p.71)

習慣

結局、悪い習慣とは、一言で言うと何でしょうか?それは、自分の利益にならない習慣のことです。(p.77)
著者は、職場における悪い習慣の具体例を挙げているが、その内容はわが国の大抵の会社社会の日常の風景のように思える。

曰く、
何分も私用電話をかける、休憩をとって同僚と話し込む、ダラダラする、定時出勤する、悪口、陰口、噂話、私生活を職場に持ち込む…これらはすべて悪い習慣であるという。返す言葉もない。こうした思想を持つ人々に伍していくためにも、われわれは今一度、高倉健を思い出す必要があろう。

ロールモデル

ロールモデルは、あなたが経験していないことや経験できないことを教えてくれます。(p.115)
ロールモデルを探すとき、安易な方法を使っている人を手本にしてはいけません。近道を通ろうとしたり、宝くじやギャンブルで一発逆転を狙ったりしているような人は、ロールモデルとしてはふさわしくないからです。(p.123)
今年の年末ジャンボは総額10億円らしい。テレビで当たると評判の売り場に徹夜で並ぶ人たちのことを紹介していたが、彼らには、見習うべき資質はないということだ。高倉健は宝くじのために並ぶことはない。しかし少しだけそんな健さんも観てみたい気もする。
「すいません。よろしければ連番10枚とバラ10枚頂けますか」

…という感じでさらっと振り返ってみたが、他にも色々と参考になることが書かれてあるので興味のある人は一読しても損はないのではないだろうか。

ちなみに原題は、「SUCCESS IS A CHOICE」(成功とは選択)というもので、ガッツ溢れるまさに自己責任思想の書であると言えよう。

そして、このような思想がこの日出ずる国でもごく普通の常識となるだろう。

話はそれからだ。

成功をめざす人に知っておいてほしいこと

成功をめざす人に知っておいてほしいこと