テレビで細川たかしが笑顔で「私バカよね、おバカさんよね」と歌っている。その直後に和田アキ子がこれまた笑顔で「笑って許して」と歌い出す。
紅白歌合戦こそ昭和遺産の名に相応しい。
気がついたら今年も終わりだ。11月あたりから時の流れは加速して、師走の声を聞いた途端、やり残したことも含め、ダンプが土砂や瓦礫を集積場に落としていくように、あらゆることが滑り落ちていく。
今日は一日中、年始のための買い出しに追われた。
そしてあっという間に日は沈み、年越し蕎麦用に海老天を揚げ、赤飯を頬張り、はっと気がついたら、細川たかしが「私バカよね」と高らかに歌い上げている。
何を見ても遠い昔のことのようだ。