ROAD TO NIRVANA

愛とポエムとお花のブログ。ときどき書評。たまに映画レビューとか。

美しき緑の星を観た

ネットの一部で話題の『美しき緑の星』を観た。

「EUでは発禁DVDらしい」とか「動画をアップしたら削除される」とか「いやそれはステマに過ぎない」とか取り沙汰されているようだ。

そういうわけでおれも観てみた。

その思想としては、悪くない、むしろ「ああ、そうだね」という感じだ。

ただ、このようなスタイルの映画にするなら、他にやりようがあったのではないかという気はする。

で、そのあらすじだが、簡単に言うと、進化した未来人がエクササイズ用のゴムボールを巨大化させたようなタイムマシンに乗って、現代のパリにやってきて、出会う人出会う人を次から次へと「切断プログラム」と呼ばれる超能力を使って汚濁にまみれた夢から「覚醒」に導くというようなSF映画である。

「切断」された人々は愛に目覚め、硬直したシステムに疑問を投げかけ、機械文明を嫌い、互いに見つめ合い、肉食を唾棄し、自然をこよなく敬愛するようになる。

何の問題もない、と思う。そういう生き方に何の異議もない、と思う。強いて発禁にする理由も見当たらない。しかし、世の中は色んな考え方の人々がいるので、中には、この映画を危険視する人々もいるのかもしれない。

ただ、「商業的」にヒットはしないだろうということは分かる。映画一本一本を「人」に例えるなら、この「美しき緑の星」さんは、「アクの少ないいい人」に似ている。それにひきかえ、同じクラスの「マトリックス」くんは、かなり目立つ存在だ、と言えば分かりやすいかもしれない。ただ、「美しき緑の星」さんは、そのオープニングでクラスのみんなから一目は置かれている。そんな感じだ。しかも最近めきめきと綺麗になってみんなから「最近あの子可愛くなったよね」と時々噂に上るようになったところだ。だから彼女の「切断プログラム」もちょっと気にされ始めている。青と赤のカプセルはかなり強烈だけど、そのプログラムは試してみたいかもなんていう人も増えている。

われわれは未来の人間でもないし、大して進化もしていない。したがって、「切断プログラム」を操ることはできない。しかし、映画の中で「切断」された人々の変わり様を観て、そのプログラムのコードを類推することはできる。そのコードに書かれているのはたぶん、一行。

見つめ合いなさい。