ROAD TO NIRVANA

愛とポエムとお花のブログ。ときどき書評。たまに映画レビューとか。

Debris of memory

人の不幸・不運には、よく見るとうっすらと道筋がついている。それなら、その道筋を外れればいいのだが、人はなぜかそのまま進んでしまう。

そうやっているうちに、最初はあるかないかの獣道程度だった道は踏み固められて、いつの間にか、これは避けては通れない道なのだというように、そこに立つ人々の前に延びていく。

たまに、その道を外れようとする者も現れるが、大抵の場合、「ちゃんと歩け」と連れ戻される。その道を進むことが、正しいのだと教えられる。みんなその道を進んでいるのだとあの手この手で誘導される。「それが、何より安心じゃないか」とその道を進む人々は言う。「そもそもこの道を外れれば、何があるか分からない。どんな危険が潜んでいるかもしれない」

そうやってまた道が踏み固められていく。より一層強固なものになる。

街道沿いに、市が立つように、やがて、その道に沿って、教訓や伝統や慰安や娯楽が生まれる。

その道に沿った教訓や伝統や慰安や娯楽が生まれる。

その道に沿った物語が生まれる。無数だが、どれもよく似た物語が生まれる。

広大な大地の中の、ほんの一筋の道を進む行列を、あの不思議そうな目をした鳥たちが眺めている。