ROAD TO NIRVANA

愛とポエムとお花のブログ。ときどき書評。たまに映画レビューとか。

不定点観測 2014 ⑥ 歴史・貝汁・生き様

赤間神宮

娘のリクエストで、今年も下関の赤間神宮に参拝してきた。4年連続だ。

👉移動祝祭日番外編:赤間神宮|Hack or Fuck ?

そろそろ熱も冷めるかと思いきや、来年もまた行くという。

900年前のことに、よくもこれだけ思い入れることができるなと思うが、父には分からない何かがあるのだろう。

参拝後、娘は一人でさっさと去年も見た筈の宝物殿に入っていった。

おれと息子はベンチに腰掛け、ツアーでやってきた中国人観光客たちの会話を聞くばかりだった。

もちろん何を話しているのか分からないが、たまにニュースなどで配信される反日デモなど、どこか別の国の人たちの話のように、みな日本観光を楽しんでいるように見えた。

それとも、日本に観光に来ることができる財力のある中国人とそうでない中国人には相当の格差があるのだろうか。

まあ、あるのかもしれない。中国人に知り合いがいないのでよく分からないが。

そう言えば、昔仕事の関係で一度だけ中国人留学生と話す機会があった。

その彼によると、「中国人は日本好きですよ」ということだった。

反日デモとかは大体バイトです」みたいなことも言っていた。

おれは基本的に相手が言ったことを疑うことはしないので、そうなのだろう。

「お人好しですね」と言われたこともあったが、そう言った人物は割と虚言癖があって、割と不幸だったが、本人にはそういう自覚はなさそうだった。そして、自己イメージと現実との乖離に苦しんでいるようだったが、自己イメージを点検することは思いつかないようだった。それどころか、自己イメージを「生き様」だと固く信じている風だった。こういう人は今の時代、意外に多いような気がする。

ドライブイン みちしお

そういうわけで、赤間神宮参拝を終えたおれたち(娘&息子)は、海に降りている石段の無数のフナムシを眺めた後、次の目的地である「みちしお」に向かった。名物の貝汁を食いに行くのだ。

👉メニュー|ドライブインみちしお|山口県山陽小野田市

子供の頃の記憶では、トラック野郎御用達の普通のドライブインだった筈だが、いつの間にか温泉施設まで併設され、ちょっとした名物店になっている。

どこを走ってもチェーン店のファミレスばかりとなってしまった現代にあって、こうしたインディペンデントの「食堂」が繁盛しているのは、喜ばしいことだ。

おまけに座敷席には、iPadAIRの3.5倍くらいの厚さのタブレットが設置され、そのタブレットから貝汁その他のメニューを注文するという事態となっていた。IT貝汁革命である。

しかし、システムは変われども貝汁の味は変わらなかった。

これはこれでまたひとつの学ぶべき「生き様」であるように思える。

西の市温泉

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貝汁その他で腹を満たした後、西の市温泉で汗を流す。

👉豊田町道の駅蛍街道西ノ市

f:id:go-nirvana:20140821211900j:plain ▲ここ豊田町は横浜DeNA平田真吾選手の出身地だと知って、横浜暮らしのおれは一瞬、親近感を抱いたものの、よく考えたら、おれはDeNAのファンでもなく、平田真吾という人の顔も知らず、そもそもプロ野球にほとんど興味がないことを思い出した。

f:id:go-nirvana:20140821211849j:plain ▲正面の門を抜けると、中庭があり、それを囲うように土産物を売る店舗がある。

f:id:go-nirvana:20140821213430j:plain巌流本舗 長州の女

来年の大河ドラマ花燃ゆ』に掛けているのだろうか。それにしても、次の大河ドラマの舞台が山口県だとは知らなかった。しかし現首相とNHK会長の関係等を考えると、あまりにもベタな感じがして、「いつまでこういうことやるつもりなのか…」としか言いようがないが、他人の生き様を観るのを楽しみにしている方もまだまだいるのだろう。

おれは今、露天風呂で見たひとつの光景を思い出している。

それは、小学生の男の子が父親らしき男性に、プロ野球のゲーム差について一生懸命に話していた姿だ。

坊主頭で、よく陽に灼けたスポーツ少年という感じの彼は、贔屓のチームがあと何勝すればゲーム差が縮まるといったようなことを言っていたと思う。

昭和の時代にはどこででも見られた「幸福」な光景の一コマだ。

しかし、残念ながら、今は平成の世だ。真っ平らな、フラットな、そんな時代だ。

フラット化の勢いは衰えることもなく現在も着実に進行中だ。

目には見えず、それでいて巨大なローラーによって、いいものも悪いものも平らに成っていく時代だ。

おれは、そんな時代をこれから生きていくことになる見知らぬ少年の健闘を祈ると同時に、いつの間にか、親戚のおじさんになって、彼に話しかけている場面を妄想する。

親戚中から、変わり者扱いされているおれは、久しぶりに会った甥っ子にこう言う。

「ゲーム差なんか気にするな。そんなことよりもっと練習して、もっと上手くなれ。好きなことをやるんだ。もっと楽しむんだ」

勝手に生きろ! (河出文庫)

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