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ROAD TO NIRVANA

愛とポエムとお花のブログ。ときどき書評。たまに映画レビューとか。

不定点観測 2014 ⑤ ゆきてかへらぬ/再訪中原中也記念館

僕は此の世の果てにいた。陽は温暖に降り洒ぎ、風は花々揺っていた。

中原中也/「ゆきてかへらぬ」

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帰省して2日目の8月13日、山口市湯田温泉にある中原中也記念館に行ってきた。

今年で開館20周年ということだ。

ということは、おれが初めて訪れてから、20年の歳月が過ぎたということだ。

何かの間違いのような気がするが、時の流れはいつもそんな風に過ぎていくのだろう。

あゝ お前は 何をしてきたのだと 吹き来る風が 私にいう 中原中也/「帰郷」より

熱心なファンではないが、中也のこの詩はことあるごとに、おれの胸を去来する。

f:id:go-nirvana:20140820202209j:plain ▲エントランス前にこうしたプレートが並ぶ。実に実に抒情的だ。

f:id:go-nirvana:20140820202443j:plain ▲ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん。いまだにこのオノマトペが覚えられない。

f:id:go-nirvana:20140820203003j:plain ▲誰もが心の中に、黒い旗を持っている。

f:id:go-nirvana:20140820203318j:plain ▲中也記念館は、生誕の地に建てられている。

f:id:go-nirvana:20140820203435j:plain ▲館内の写真はないので…

ここのところ長州に対する風当たりが強い雰囲気を感じるが、中也を始め、金子みすゞ種田山頭火のような詩人・俳人を生んだ土地でもあることは言っておきたい。

しかし彼らの足跡を辿ってみると、どれも「まとも」な人生を歩んでいるとは言い難い。

言わば、ニート、メンヘラ、ホームレスの走りのような人たちだが、文学とはそもそもそういうもの、体制の埒外から生まれる。

そういう意味では、「体制」から零れ落ちる人が増加する一方のご時世だ。これからまた文学の再興のようなことが起こるのかもしれない。そう考えると、悪いことばかりでもないような気もする。

要は、どのレイヤーを選ぶのか、どのチャンネルにチューニングするのかということなのだろう。

f:id:go-nirvana:20140820220231j:plain ▲中也記念館を出た後は、すぐ近くの井上公園にある足湯でひと休み。湯田温泉周辺にはこうした足湯が数箇所ある。

温泉に浸かる自分の生白い足と息子の陽に灼けた足を見比べる。

ふと、視線を上げると、小林秀雄の書による「帰郷」の詩碑が目に入る。

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おれは何をしてきたのだと思い、空を見上げる。

雲ひとつなく真っ青だった。

黒い旗は切れ端も見えない。

ところで、最近知ったAMAZARASHIの曲の中に、中也の詩と同名の「ゆきてかへらぬ」というのがある。

こういう歌を聴くと、あらためて詩は光なのだと思う。

名状しがたい何物かが、たえず僕をば促進し、目的もない僕ながら、希望は胸に高鳴っていた。

中原中也/「ゆきてかへらぬ」

山羊の歌

山羊の歌

中原中也全詩集 (角川ソフィア文庫 360)

中原中也全詩集 (角川ソフィア文庫 360)