ハッとして!Goodな手帳/ES DIARY 2016
- 出版社/メーカー: エイ出版社
- 発売日: 2015/10/15
- メディア: Diary
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毎年、この季節になると翌年の手帳は何にしようかと夜も寝ずに何日も考え続け疲労困憊していたものだが、今回はそういうこともなく、もうすぐ卒業だというのに上履きがキツくなった、もう履きたくないと言う息子の上履きを買いにAEON本牧店に行った際、通りかかった文具コーナーの店頭に置いてあった本商品をパラパラとめくっただけで即決即断で購入した。
即決の理由は「ノートページ」欄が大きく取られていることと同時にウィークリー・スケジュール欄もあること。
そして直接的な理由ではないが、あれこれ考えることに飽きていたということではないかと思う。
選択の自由を謳歌するのは悪くない。むしろ歓迎すべきことなのだろうが、結局のところ選択するのは「ひとつ」である。ゆえに人はカタログを睨み、あらゆるスペックを比較し、価格を調べ、手持ちのカネを確かめ、その「ひとつ」を手に入れようと日々奮闘する。これはモノだけの話ではない。職業においても、異性(あるいは同性)においても、生き方においても同様である。われわれは「選択の自由の海」の中に生きている。
もちろん世界にはそんな「海」と無縁な生活を送らざるを得ない人々は多数存在する。むしろそんな人々の方が多い。手帳ごときで迷っている場合ではない。人生は即決即断だ、生きるか死ぬかだ。5秒で決めろと安部譲二もエッセイで言っていた。10秒だったかもしれないが、詳しいことはすでに忘れた。
というようなことは後で思いつくことで、おれはただ単に「ハッとして」買ったというだけの話だ。それだけの話だが、これが実に新鮮だった。不思議な感じと言えば大袈裟だが、何の予備知識もなしに目の前に現れたモノが気がつけば自分の手元にあるということは何かプレゼントを貰ったような気がして夢を見ているような気になる。
あるいは、人生とはこうした夢見心地を味わうためにあるのかもしれない。大袈裟で短絡的なおれはそう思う。
そして、夢のような人生を過ごしたいならあれこれとガチガチに計画しないことだと思う。計画を立てて実行してその通りになる。よかったね。でもそれがどうした?それからどうする?
あなたは日々、目的に向かって突き進む。でも道端に咲く目も眩むような色彩の花に気づかない。
脇目も振らず突き進むあなたに様々なものが色んなカタチであなたにサインを送っている。あなたの立てた計画よりはるかに重要な何かを伝えている。しかしあなたは素通りしていく。
TOEICで高得点を獲得してもあなたが語る言葉に深みがないのはそのせいだ。
▲おれが選んだのは「スカイブルー」。今までなら絶対選ばなかった色なのに、なぜかこれがいいような気がした。こうした「色の嗜好」の変化は個人的には注目に値する。今まで食べられなかったものが急に食べられるようになったような感じにも似ている。
▲①のウィークリー欄には、習い事の予定や何かを記入する。習い事はしていないが。
②は、「to do list」。その週にやっておくべきこと、買っておくべきモノ等を書く。「ボールペンの替え芯を買う」とか「コタツを出す」とか。
そして一番重要な③のスペース。ここには思いついたことを何でも書く。断片的なものでもいい。ふと頭をかすめた言葉、夢の中で聴いた言葉、街で見かけてふと気になったこと、プロセス志向心理学のアーノルド・ミンデル言う所の「フラート」なこと、「センシェントな体験」を書き留める。それぞれの関連性は気にしなくていい。結局のところそれらは「自分が書いた」のだから。言わばマインド・マップの原型。
週の終わりにそれらの断片をぼんやり見つめる。次第に「自分」が浮き上がって見える。やがてそれが「コンパス」となる。
そしてまたわれわれは選択の自由という荒海に漕ぎ出すのだ。
センシェントという用語は、普段は無視されている微細な体験や感覚に対する自動的な自覚を意味する。/アーノルド・ミンデル
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