Surfing the wave of Gamification/『となりの婚活女子は、今日も迷走中』レビュー
- 作者: 大西明美
- 出版社/メーカー: かんき出版
- 発売日: 2016/08/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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今回、レビュープラスさんより献本していただいたのは、『となりの婚活女子は、今日も迷走中』という「婚活」の体験談というか、ガイドブックというか、そんな内容である。
婚活もしてないし、女子でもないおれにはかなり縁遠い内容に思えるが、それは表面的な話に過ぎないという確信というか思い込みというか、希望と共に読み終えたのだが、真っ先に浮かんだのは、「そうですか…」という感想のみだった。
しかし、「そうですか。婚活も大変ですね。頑張って下さい」だけで終わらせては、レビューにも何にもならない。
だから、おれは考えた。
婚活とは何か。
言うまでもなく、聞くまでもない。
結婚という目標に向けて行われる活動である。
似たような言葉に、就活や終活というものがあるが、婚活ももちろんこうした流れを汲む言葉なのだろう。
こうした流れというのは、つまり、一般的にいくつかあるであろう人生の節目のことだが、そうした人生の節目をクリアすべく行われる活動ということになるだろう。
今、何気なく「クリア」という言葉を使ったのだが、あながち的はずれでもないような気がして、しばし瞑目して言葉が浮かんでくるのを待つ。
やがて、「ゲーミフィケーション…」という言葉が浮上する。
ゲーミフィケーション(gamification)
ゲームの要素を他の領域のサービスに適用することで、利用者の動機付けを高めるマーケティング手法。ポイントやスコアやアイテムの獲得で利用者同士の競争意識を高めたりする手法を指し、ソーシャルゲームの要素をもつものが多い。ゲーム化。ゲーム化戦略。ゲーム的手法。〈コトバンクより引用〉
要するに、今や人生の大部分はゲーミフィケーションという網に囲われているからこそ、「就活」「婚活」「終活」という用語が生まれたのだ。理由は割愛するが、ほぼ間違いない、はずだ。
いずれにせよ、すでに、人生はゲーム化したのだ。
いや、人生とはそもそもゲームで、我々がようやくそれを自覚し始めたということなのかもしれない。
思えば、古来よりインドでは、森羅万象は神の戯れ(リーラ)と呼ぶらしい。
そうか。そうだったのか。
資本主義は、遠い昔にヴェーダンタ哲学が示した世界を今ようやく垣間見始めたところなのかもしれない。
勝手に一人で思い込み、勝手にそう結論づけたおれは一安心したが、肝心の本のレビューはまだ終わっていないし、始まってもいない。
と、この本を読んでいる最中、こんなニュースが流れてきた。
国立社会保障・人口問題研究所が去年6月に18歳から34歳の未婚の男女およそ5000人らを対象に調査した結果、結婚願望がある人が男女ともに8割を超える一方、「異性の交際相手がいない」人の割合が男性で7割、女性で6割と、5年前の前回調査から1割近く増えて、ともに過去最高でした。
「独身の交際相手なし」過去最高、男性7割 女性も6割(TBS系(JNN)) - Yahoo!ニュース
金の切れ目が縁の切れ目というが、金がなければ縁も持てない、そういうご時世なのだ。
“さげた手鍋のその中にゃ 明日の米さえなかったなぁ”などという夫婦春秋のメンタリティは天然痘の如く、とうの昔に絶滅したのだろう。
そんな、いいのか悪いのかよく分からない現代において、本書で紹介される様々な「婚活女子」の出現はある種の必然性を持っているのだろうという気はする。
ただ、残念ながら個人的に、おれが参考にすることはない。なぜならおれは婚活女子ではないからだ。残念である。
もちろんこれはあくまでもおれが思うことであって、これから「婚活」を始めようと考えている女子には色々とためになる体験談が語られているのではないだろうか。
16種類に分類された「婚活女子」の中に貴女は自分自身を見つけることになるかもしれない。