始めたら始まりさ/『奇跡の営業』を読んだ。
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たった今、『奇跡の営業』を読み終えた。
どんな本かというと、Amazonの内容紹介によれば、
ただのおじさんが、未経験にもかかわらず44歳で転職。入社以来たった10年で驚異の連続挙績460週を達成して、ソニー生命4000人のトップに立った秘訣とは?
と、ある。
営業マンでもないおれがなぜこのような本を読んだのかというと、レビュープラスのレビュアーに参加しているからだ。
で、めでたくレビュアーに選ばれて本も無事届けられたわけだが、内心戸惑いもなくはなかった。
とりあえずレビューに参加したのはいいが、先に書いたように営業マンでもなく、営業の仕事をしたこともなく、今後もおそらくしないであろう自分に何の役に立つのかという思いも少なからずあった。
だがそうした思いは本書を読み進むにつれ次第に解消されていった。
どのような種類の本でも何かしら学ぶ点はあるものだ。
本題に入ろう。
本書は、ずっと畑違いの仕事をしていた「ただのおじさん」が未経験の保険の営業の世界に飛び込み、記録的な成績を達成した秘訣・ノウハウをわかりやすく紹介するものである。
そしてそのキモはいきなり披露される。
そのキモとは、「紹介」に焦点を当てる営業スタイルにあるのだという。しかもこのスタイルに基づけば営業未経験だろうが、何歳だろうが、誰でもトップになれるのだという。
詳細は各自本書を手に取って読んでもらいたいと思う。
ここではおれの感じたこと・おれなりに得られた教訓を思いつくままに書いてみたい。
ここのところアベノミクスだのGDPのポイント上昇だのと喧伝されてはいるが、多くの人には不安定なご時世になったものだという方が実感があるだろう。
いつなんどきリストラに遭うかと戦々恐々としている人々、あるいはノルマに追われる毎日で休まることのない日々を送っている人々も次第に増えているような気もする。
当然転職を考えている人も増加しているだろう。
そんな人々にとってはもしかするとこの本がひとつの転機となるかもしれない。
特に営業という仕事に転身しようと考えている人にとって読んでおいて損はないと思う。(もちろんあなたが営業の仕事でなくとも損はないはずだが)
というわけで、教訓その1。
「馬には乗ってみよ。人には沿ってみよ」
著者は自分の営業成績が上がったことの一番の要因は「素直さ」にあるのだという。自分でいいと思ったことは即実践に移すことで徐々に独自の営業スタイルを築いていった。
実に簡単な方法だが、なかなか実践できていない人はおれも含めて多いだろうと思う。
なぜなら「素直」じゃないからだ。自分が素直さに欠けていることは棚に上げて結果ばかりに注目している人は「素直」であることにさえ代価を求める。
教訓その2。
「背伸びをしない」
保険に限らず何かを売る過程において大切なのは自分の想いを正直に相手に伝えることだという。
だからと言って、
「どうでもいいんで早いとこウチの商品を買ってくれりゃいいんですよ!」
「さっさとこことことにハンコついてくださいよ!」
などと言えば確実に商談は破談となり下手をすると通報されることになるだろう。
ということは、どういうことかと言うと、重要なのは正直になったときのあなたの気持ちが相手の気持ち・ニーズと合致しているということだ。著者はそれを「ボランティア精神」と表現する。
人の役に立つこと。貢献すること。喜んでもらうこと。
こうしたことがそのまま自分の喜びにつながれば、後はその気持ちを正直に伝えるだけだ。
これまた実に簡単ことのように見えるが、実践できていない人がほとんどではないだろうか。
なぜなら、ボランティア精神、あるいは利他の心に欠けているからだ。
本来、人は他者から感謝されたり喜ばれたり、役に立つことで高いモチベーションを発揮できるはずだとおれは考えているが現実はなかなかそうもいかない場面の方が多いだろう。
どうすればいい?
仕事を楽しむことだと著者は言う。それも与えられる楽しみではなく、苦しみを乗り越えることを楽しむのだと言う。また、リスクを避けて楽な道ばかりを選んでいるから、やりがいを感じられないのだと言う。
そう言われてみれば、やりがいを感じられない仕事が楽しいはずもなく、そんな気持ちを「正直」に出しても何の益もない。
ここでおれは気づく。
この本は確かに営業の秘訣を説いたものであるが、それ以上にこの世で生きていく上で大切な在り方を説いているのだと。
「素直であれ」
「背伸びをするな」
「仕事を楽しめ」
「向上心を持とう」
「自己肯定感を持とう」
どれもどこかで聞いたことのある言葉だろう。
何だか卓袱台返しのようではあるが、要するに本書が伝えるのはこうした在り方そのものであると、営業と何の関係もないおれは思う。
そしてこうした在り方であったからこそ、著者はソニー生命4000人のトップに立つことができたのだろうし、独自の営業の秘訣やノウハウを作り上げることができたのだと思う。
われわれは本書を読むことで実は著者が辿った道を遡るのだ。
著者が惜しげも無く晒してくれたノウハウを通して、われわれはとうの昔に失った「素直さ」を取り戻すのだ。
不安な時代で必要なのは情報そのものではなく、「素直さ」である…心に刻みたい言葉である。
著者は情報ばかりを漁り回るわれわれにこう言う。
知識ばかり増やしても無意味だよ。行動しなくなるからね。
今、おれは営業と何の関係もない歌を思い出している。
通報されるくらいに
収録: SION comes
演奏: SION
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